中国、昨年末の追加利上げの意味とは?

中国、昨年末の追加利上げの意味とは?

中国、昨年末の追加利上げの意味とは?

一昔前とは違い、現在では中国抜きに相場の先行きが見通せない時代となっている。昨年12月、クリスマスで欧米市場が休場中に発表された中国の追加利上げについて説明していこう。

 

2010年12月25日(土)に中国人民銀行(中央銀行)が金融機関の貸し出しと預金の基準金利(期間1年)を翌26日から引き上げると発表した。引き上げ幅は0.25%で政策金利に相当する期間1年の基準金利は貸し出しが5.81%、預金が2.75%となった。

 

利上げは2010年10月20日以来である。同国ではインフレ懸念が台頭しているため、預金準備率の引き上げで銀行の融資を抑える政策を先行させ、食品が値上がりしないよう価格の統制を試みていたが、中途半端な政策で一向に物価抑制に効き目がなかった。

 

今回の利上げは、短期金融市場での金利が約3年ぶりの高水準となった局面で実施された模様である。背景には、中国政府が2010年の消費者物価指数(CPI)前年比の上昇率を3%以内に抑える目標を掲げていたが、2010年7月以来5カ月連続で目標水準を突破した(11月CPI前年比は5.1%、2年4か月ぶりの高い伸び)ことである。

 

特にそのCPI構成品目の3分の1を占める食品の値上がりが、インフレ圧力を高める最大の原因となっている。自然災害による農産物の不作や先進国の金融緩和策で生じた余剰資金が、中国へ流れ込んだことによりインフレを加速させている。

 

また、利上げは不動産価格の上昇を抑える狙いもある。主要70都市の不動産価格が、昨年11月まで3カ月連続で前月比を上回っていることも利上げを後押しした。

 

日経新聞によると、人民銀のアンケート調査では回答者の約7割が「物価高に耐えられない」と答えており、同国民の不満は高まっていると思われる。1989年に中国ではインフレが社会不安の引き金となり起ってしまった天安門事件。

 

あの前例など、温家宝首相は不動産価格と消費者物価の上昇抑制を目指しており、同国民の不満が中国共産党・政府への批判に繋がらないよう利上げを急いだということである。

 

ただ主要国が低金利の上、金融緩和を実行して余剰資金がダブついている現状での利上げには、海外との金利差が拡大し、投機資金の流入が加速するリスクがある。

 

また中国元の上昇を介入で抑えようとすれば、介入資金で同国内にお金がダブつき、物価上昇を招くリスクもある。今後は中国当局の手腕が試されると同時に、今年も注目し続けなければならない材料のひとつになろう。

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