ドル安相場開始!
米国経済の悪化傾向は経済指標上からもはっきりし始めており、バーナンキFRB議長が米金融機関に対する懸念を発言したことから、ドルを売り込む動きに勢いがつき始めている。
ユーロドルは1.50ドルを前にしてもみ合いがあると思われたが、予想外にあっさりと突破しており、ドル売りの強さを際立たせている。ドルインデックスは昨年11月の安値である74.48円を割り込んでおり、昨日は73.62円までの下げにつながっている。通貨だけではなく、金価格や原油価格も軒並みドル安が目立っており、ドル全面安の様相となっている。
昨年までは、ユーロドルでの1.50ドル越えが欧州中銀筋を刺激していたため、口先介入的な発言を期待した。しかし今年に入り、為替レベルに関する言及はほとんど無く、市場にドル売り安心感が広がっていたが、ポジション調整から多くの通貨ペアでもみ合いとなっていた。
円やスイスに次ぐ低金利通貨となったドルは次回のFOMCで更に利下げを行うと見られており、スイスとの金利差逆転も既に視野に入り始めている中でドルでの調達、高金利での運用といったドルキャリートレードの活発化すら市場で言われている。
金利先高感の強い豪ドルについては、昨年11月の0.9401ドル高値を上抜いて昨晩は0.95ドル手前まで、NZドルや資源国通貨でも買いが強くなっており、ドルの基軸通貨からの脱落を見越してのドル全面安の方向性が出始めている。
この状態でドルがどこまで売り込まれるかといった命題はあるものの、新値安を更新するドルの目標値は歴史的なデータが無いレベルであり、テクニカルに見ても難しいのではないか。
その意味でドル円は未だ新ドル安値には程遠く、未だ下げ余地が高い通貨といえるかもしれない。円の現状低金利は、年内いっぱい続く見込みであり、次期日銀総裁についても景気判断を強気に持つことは難しいと思われる。
しかしながら、円が対ドルを中心とは言え買い進まれるのは不思議なことかもしれないが、出遅れ感という意味でドル下落のテーマの中では大きな出遅れを見せている円の巻き戻しが起きてもおかしくない状況であることは確かである。
また、円の低金利に大きな変更は無いものの、出遅れ感という点では円クロスの下落も十分にありえると思われ、円クロスの上昇への楽観的な期待感は慎みたいところだ。
ドルインデックスについても豪ドル、ユーロドルなどについては支持線、抵抗線との平行線レベルで見ると未だドルの下げ余地があると思われ、少なくとも3月中旬までは下落を試す動きが続きそうだ。